囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
藤城課長は一瞬ためらった後、フワリと軽 く、突き離せる程度の力で私を抱き寄せた。

「そんなつもりは…誓ってない」

「…カチョー?」

手を止めた。
緩やかに背中を撫でる体温が、不思議に心地好かったから。
 
「お前みたいな未発達に…あのジジイは興味を持たないと……そう考えていた。
俺の配慮が足らなかったな」 

“すまない” と、彼は少しだけ笑った。

「シツレイ…な…」

彼がよっぽど王様気質なのか、はたまた私がドレイ体質なのか。

その言葉だけで、ヨシヨシと撫でて貰っただけで、私はもうすっかり満足してしまって、泣きながらもう笑っていた。
 

少しして、背中を撫でる手を少しだけ震わせながら、彼がポツリと呟いた。

「俺だって…あんな姿、見られたくはなかったさ」

その言葉が妙にココロに響いて_

いつの間にか私の怒りの矛先は、彼の味わった屈辱の方へとすり変わっていた。
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