囚われのサンドリヨン ～御曹司様のご寵愛～【番外編を追加しました】

「ああ？……どういうコトだ？」

午後、私はオズオズとデスクワークに戻ってきた藤城課長に『辞表』を差し出した。

「い、一身上のツゴウであります」

しかし彼は　“満面の笑み”　と思いきや、片眉を下げて不機嫌そうに私の方を睨みつけた。

「持って帰れ。理由もなく受けとれない。
…しかも字、間違ってるし」
「えっ」
　
意外や意外、彼は、違うな恥じ入る私にそれを戻したのだ。
嬉しい反面、それはそれで困る。

「ししし、しかし課長。コレにはやむをえない事情がありまして…」

鋭い眼光に負けてはいられない。

再びパソコン画面に向おうとする課長の手に私は　“辞表”　を捩じ込んだのに

「シツコイな。
とにかく今は受けとれないから」

なんて、とりつく島もない。

押し問答の末。

それでも引き下がる訳にいかない私が、とうとうその場に立ち竦んでしまうと、課長は　“仕方無い”　とでもいいたげにため息をついた。

一旦仕事を中断し、私の方に目を向ける。

「四葉、今晩付き合え。
“事情”　とやらを聞いてやろう」


「…ハイ」

私は力なく頷いた。