若の瞳が桜に染まる
「……一緒。

私も、我久が香織さんとずっと話してるの見てモヤモヤしてた。
寂しくて、悲しくなった」

ってことは、日和も俺に嫉妬を?

楠井のことは同期以上に思ってないってこと?

そうとわかってしまえば、抱えていたドス黒い感情があっという間に浄化されていく。

「本当に…?

そっか。
安心した。

思ってることは、ちゃんと言葉にしなきゃいけないよな」

最後は自分に言い聞かせるように。
我久は、頭に置かれた日和の手をとった。

今から言おうとすることが頭を埋めつくし、これまでにないくらいに緊張する。
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