クジ引き
☆☆☆

やるべきことがすべて終わった時、あたしは強烈な眠気に襲われてソファでそのまま眠りについてしまった。


夢の中であたしは小学1年生だった。


おばあちゃんに買ってもらった赤いランドセルを背負い、みんなと一緒に登下校する。


美味しい給食を食べて、勉強をして、遊んで。


毎日が新鮮で楽しかった。


そんなある日。


あたしは1人で家に帰っていた。


いつもの友達は用事があるからと車で迎えに来てもらい、先に帰ってしまったのだ。


1人で帰る道も、あたしは大好きだった。


道端に生えている草や花に興味があり、立ち止まってはそれらを眺めていた。


少し遠回りをして帰ろうと考えたあたしは細い路地に入り、薄暗い道を歩いていた。


太陽が当たらない場所でも、花はあちこちに咲いている。


路地には大きな川があり、よく川釣りをしている人たちを見かけた。
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