囚われ姫と金と銀の王子
「それは貴族の娘に生まれたならば避けては通れない道よね。悲しいけれど、貴族の女はその為に育てられているんだものね」

「だが彼女達はそれを知らず、私に好かれようと一生懸命だった。しかし私はどうしても好きにはなれなくてな・・・」

「ではエリスは?エリスは事情が少し違うのでしょう?」


「・・・エリスは、初めて参加した夜会で出会ったのが始まりだ。そこから話すようになってそして結婚した。ソフィアを好きだと自覚するまで、きっと正妃になるのはエリスだろうと、自分でも周りからも思われていて・・・。公爵家の令嬢だし、外見も申し分ない。もちろん令嬢としての教養も完璧な女だし、そこに恋愛感情はなかったが・・・」

そう言って殿下は頭を掻く。

とはいえ、私が現れるまでは少なからず、殿下の心の中にはエリスがいたのだろうから、恋愛感情がなかったというのは嘘だろう。

ゆっくりと育っていたエリスへの恋心を、摘み取ってしまったのは私なのだ。


どうしてあのタイミングで、私は殿下と出会ってしまったのか。

もう少し遅ければこんな事にはならなかった筈なのにと、その運命を恨んだ。


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