囚われ姫と金と銀の王子
「エリスは結婚に至るまでが他の妻とは違うのだから、そりゃあエリスは本気であなたの事を愛していたでしょうね。正妃になれると信じて疑わなかったでしょう。だからこそ、裏切られた時の気持ちといったら相当なものよ」


殿下の話を聞く限り、一番恨みを持っているのはエリスなはず。

しかし、エリスは私達の前には姿を現さない。

ナザリアもマリリンも、私に対してあんなに感情を露わにしているというのに。


「・・・だからこそ怖いのよね・・・」

「何か言ったか?」


つい考えていたことが口に出てしまい、殿下は眉を顰めながらそう聞いた。


私はそれに対し、何でもないと首を横に振る。

そして軽く息を吐くと、殿下を見つめた。


「本当に罪な人ね。こんなにややこしい事になるとは思っていなかったでしょう?・・・人の心って、自分が思うよりも複雑で上手くいかないものなのよ、現実は」


「そうだな、軽く考えていた私が馬鹿だった。・・・けれど私も辛いんだよ、ソフィア。自分のしでかした事で、ソフィアに好きになって貰うどころか、嫌われるような事ばかりして。胸が張り裂けそうになるくらい苦しいんだ」

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