マーガレット
それから数分後、私たちは拓海を手術した医者、安原先生の診察室に通された
暖房をつけたばかりのこの部屋は、外との温度差はほとんどない
「拓海さんのことですが……」
茶封筒からレントゲン写真を取り出すと、専用のライトで照らした
浮き上がったのは頭頂部が窪んだ拓海の骨
医学とか治療のことに関して無知な私でも、どれほど重症なのか見て取れる
「えー、見ての通りですが、拓海さんは頭蓋骨を骨折しています。その他にも脊髄損傷も見られ……」
詳しい話をしないで話を終わらせようとする先生は一呼吸置くと、静かに告げた
「拓海さんがこの先目を覚ます確率は、ほぼ0%です」