逆光






包まれた暖かさに目を細める。
総馬に抱きしめられているときの暖かさが和泉は好きだった。

先ほど、総馬が誰か、和泉ではない別の人と一緒になるところを想像した。
だけど、この腕の暖かさが別の人のものになるのは、何だか少し惜しい気がした。


「好きですよ。総馬さん」


するりと出てきたその言葉。
およそ自分らしくない言葉に自分自身でも驚く。

けれどわざわざ訂正するのも雰囲気を壊すだろうから黙っていた。

総馬は和泉の言葉に何を言うわけでもなく黙って目を伏せていた。
ゆっくりと和泉の髪をすく。
優しい手つきに和泉はまどろんだ。

自分でもよく分からないが、すごく幸せな気分だった。








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