無機質な恋模様
私の胸に顔を埋め、その身を震わせながら。


いや。


それは無理なんだ、ヒカル。


小さい時に説明したじゃないか。


「私と付き合っていく上で、こういうことに注意して欲しい」と。


あまりにも昔のことで、もう忘れてしまったのかな……。


人間の記憶は長続きしないから。


私は覚えているよ。


ヒカルに初めて会ったあの日から今日までの、すべての事を。


「マモル…わたしね、ずっと、マモルのこと……」


囁くようなその言葉を最後に、私の耳は音声を受信することができなくなった。


きっとまもなく、すべての機能が停止するだろう。


すまない、ヒカル。


また約束をやぶってしまった。


遠い昔、あの夕暮れの道で、ずっと傍にいると、誓ったのに。


だけど私の心は、今、とても満たされている。


小堀氏との契約も、ヒカルとの約束も守れなくて、機械としてはとんでもない出来損ないであるというのに。


その事を、反省しなくてはいけない立場であるというのに。


ヒカルが最後に「愛してる」と言ってくれたから……。


私の心には今、生まれて初めての【嬉しい】という感情が芽生えていた。
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