無機質な恋模様
タイミング的には間に合ったが、しかし、思った以上の衝撃で、私はバランスを崩した。


ヒカルと二人、階段の中ほどで倒れ込む。


彼女の事だけは守りたかった。


自分の胸にかき抱くようにしたので、きっとダメージは最小限に抑えられた筈だ。


しかし、倒れた瞬間、「ゴキッ」という、とても嫌な音がした。


私の頭部から。


「マモル!」


私の上になっていたヒカルが、慌てて起き上がる。


良かった。


こんなに早く動けて大きな声が出せるなら、きっと大丈夫だったのだろう。


しかし、私は駄目だ。


「足とか腕とか、とりあえず、ボディの損傷ならいくらでも修理はできる」


私が出荷される前に受けた、研修の担当者の声が蘇る。


「しかし頭部にダメージを受けてしまったら、もうどうにもならない。そこに君達の大切なものが詰まっているから」


私も仲間達も、真剣にその声に耳を傾けていた。


自分の機能を、きちんと理解しておかなければならないから。


「復元することはできない。それまで蓄積されたデータはすべて消えて、君達にとっての、死を意味することになる。どれだけ技術が進歩しても、ウィークポイントのない精密機器を作り出すというのは、やはり不可能なんだ」



「マモル!マモル!」


ヒカルが泣いている。


「大丈夫だからね。すぐに治してあげるから!」
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