ずっとお前を待ってるから
「ここで、話すより屋上で話そうぜ。お前と昔の話ししてぇし」

「へ、あ…う」

「さ、探したわよぉ緑下君」

「げ…っ」

「あ、黒岩せんせ」

「ちょっと、学校の資料を何枚か渡すの忘れてたみたいだったのぉ〜」

離された体の間に体を割り込ませてきたのは担任で、あからさまに猛烈アピールをする彼女にため息が出る。すると、私と同様に嫌そうな顔を見せる冬二。

「先生と一緒に来てくれるかしら?」

「また、放課後じゃ駄目ッスか?」

「放課後…放課後ならもっと色々聞け、じゃなかった…プリント類渡すだけだからいいわよ」

今、この担任は何と口走った。確実に冬二をロックオンしている彼女に驚かされる。綺麗なお顔は明らかに私を敵視しているのか笑顔が引きつっている。すると頭上からまた、ため息が聞こえると肩を引き寄せられた。

「先生、悪ぃんだけどさ。柚那とデートする予定だから話し短めにして欲しいんだわ」

「え?」

「へ?」

な?と同意を求めてくる冬二に口裏を合わせたいのは山々だけどもここで口裏を合わせてしまったら私の今後の短い学校生活に支障をきたす予感がする。

「で、でもそんなやく」

「約束したもんな?」

「し、したかも…しれないけど…してないような…」

「ってな訳で先生?放課後は空いてません」

「ちょ、ちょっとぉっ!!」

半ば無理矢理肩を押され先生の所から脱出するが先程まであんなに甘える様な声を出していたのにいつの間にか怒りを含んだ声に変わり、私はきっと先生のブラックリストに載ったと確信した。

「はぁ、俺あの黒…なんだっけ?まぁ、とにかくあの担任苦手なんだよ…」

「黒岩先生?あの先生はまぁ…カッコイイ男の子が好きなんだよ」

「俺カッコイくはねぇと思うんだけど…」

「女子からは人気だと思うよ?」
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