ずっとお前を待ってるから

恋します

｢ねえ、二人に何があったの｣

｢…｣

私は胃がキリキリと痛む中昨日の自分の発言に叱咤してしていた。なぜ、このような状況になってしまったのか私の方が頭を抱えたくなる。

｢よお、おはよ｣

｢…なんであなたまでいるのよ…｣

｢え〜…?そりゃあ…あんなに激しいアプローチしといて…なあ…?｣

｢誤解を生むような事言わないで…っ!｣

頬を赤らめて私をチラチラと見てくる相手の言動に驚愕の表情をする海に慌てて弁解するも呆れられため息を吐かれた。こっちが、ため息を吐きたいぐらいだ。

｢で、あんた達は付き合ったの?｣

｢ち、違っ｣

｢俺がコイツをもう一度惚れ直させんだよ｣

ふん、と鼻を鳴らす男に半分呆れ顔をする海に挟まれいたたまれなくなり早足で私は学校へと向かった。後ろから聞こえてくる声を全て無視して。

｢俺に惚れた?なあ、ゆーずーなー｣

｢…はあ｣

｢俺に惚れたか?｣

｢…惚れるわけないでしょ。そもそもあの時言った事は忘れて｣

｢嘘だって言いたいのかよ?｣

背後から話し続ける彼はしつこいぐらいに私のカバンをくいくいと弄り私の気を引こうとしている。なんだか、犬のようだ。ため息を漏らしつつ振り向くと嬉しそうに笑う。

｢あんた達、お似合いなんじゃないの?｣

｢そ、そんなわけないでしょっ!?｣

｢やっぱり、静白もそう思うよな!｣

うんうんと頷くしぐさをしながらさりげなく私の肩に手を回す。もう早く学校に行きたい。
その時フワッと何か香りがした。

｢…風月(ふつき)…の香水の匂い…?｣

｢お、よく知ってるな｣

相手の袖から香る香水は私がいつも愛用している風月香水ブランドの香りと同じだった。仄かに大人のセクシーな香りが漂う香水は私が好きな香り。思わずくんっと相手の袖に鼻を近付けてしまった。