イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
「いえいえ、旦那様を優先するのは当然ですから! ねっ、一葉♪」

「ちょ、ふみか……!」


ムフフ、と声がしそうな笑いを浮かべる彼女は、うやうやしく部長に会釈する。そして私に手を振ると、あっさりとエントランスを出ていってしまった。

呆気に取られる私に、閉まったガラスのドアを見つめたまま部長が問い掛ける。


「溝渕……って言ったか、お前の同期の。あの子も噂を信じてんのか?」

「いえ、本当のこと知ってるけどあんな感じなんです……」

「佐原さんと同じだな」


クッと笑う彼に同意して、私も苦笑しながら頷いた。

まぁ、お土産は渡したし、たしかに私の話はいつでもいい。部長の用件は何なのだろう。


「あの、部長の話は……?」


問い掛けると、彼は思い出したように「あぁ、実は」と用件を話し始める。


「この間の展示会でお前の営業が気に入って、今まで別の業者から取ってた乳製品もウチに頼んでくれることになった施設があるんだ」

「えっ、本当ですか!?」


ぱっと表情を輝かせる。私の営業を気に入ってくれただなんて、信じられないけど嬉しい!

彼も穏やかに微笑んで頷くと、さらに驚くべき一言を放つ。


「で、そこの施設長がお前に会いたいんだと」

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