イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
ったく、誰だこんな時に!

……と、最初こそ舌打ちをしたくなったものの、止めてもらえてよかったのかとすぐに思い直す。まだ、お互いの気持ちが繋がったわけではないのだから。


画面に表示された名前を見れば、さらに現実へと引き戻された。

桐絵から連絡が来ることは、最近では滅多になかったため、何かあったのかと不安が過ぎる。

気まずそうにする一葉を気にしつつ電話に出ると、聞き慣れてはいるものの、様子がおかしい桐絵の声が耳に届いた。


『どうしよう、零士くん……助けて……!』


突然“助けて”だなんて震える声で訴えてくるから、ギョッとして問い掛ける。


「おい、どうした?」

『……今、波月駅にいるんだけど、このまま帰れそうになくて……遥一も今日は夜勤だし』


帰れそうにないって、どこかに財布を落として無一文だとか? それか、まさか変な奴に後をつけられているとか……。

桐絵がこんなふうにうろたえて、俺に助けを求めてきたことなんて今までほとんどない。ひどく胸騒ぎがする。

とにかく困っているようだし、兄貴がいなくて俺を頼ってきたとなると、行かないわけにもいかない。それに……。

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