イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
背筋をぞぞっと悪寒が走る。どんどん後ろに下がっていた私は、使っていないのであろう調理器具が置かれた棚に背中をぶつけた。
もう下がりようがない私に、栄さんはさらに距離を詰めてくる。
「今度、僕と食事でもいかないかい? そうしたら、もっと君の会社から商品取ってあげるんだけどなぁ」
「え、や、あの……っ!」
それ、軽い枕営業じゃないですか! この、盛りのついたサカえもんめーー!!
心の中では暴言を吐くものの、実際はどうしたらいいかわからない。
こういう時って、会社のために頷かなきゃいけないの……!?
どうしよう!?と、気持ち悪いサカえもんから顔を背け、泣きたくなっていた、その時。
「そんな汚い手を使う方に見合うような、質の悪い商品は当社にはありませんよ」
──凛とした声が響いた。
ぱっと顔を上げると、栄さんの後ろから後光みたいに光が入り込んでいる。
ものすごく驚く彼と同時に、視線を光の方へ向けると、身長は百八十センチほどであろう長身のスーツ姿の男性が立っていた。
細すぎず、すらりとスタイルの良い彼は、片手をポケットに入れてゆっくりこちらに向かってくる。
「このクソ忙しい時間帯に、よく女を口説く余裕がありますね。さすがは責任者様」
「ぶ、部長……!?」
麗しい微笑みに似つかわしくない口の悪さで嫌味を言い放つその人は、紛れもなく私の上司。営業部の部長様だ。
もう下がりようがない私に、栄さんはさらに距離を詰めてくる。
「今度、僕と食事でもいかないかい? そうしたら、もっと君の会社から商品取ってあげるんだけどなぁ」
「え、や、あの……っ!」
それ、軽い枕営業じゃないですか! この、盛りのついたサカえもんめーー!!
心の中では暴言を吐くものの、実際はどうしたらいいかわからない。
こういう時って、会社のために頷かなきゃいけないの……!?
どうしよう!?と、気持ち悪いサカえもんから顔を背け、泣きたくなっていた、その時。
「そんな汚い手を使う方に見合うような、質の悪い商品は当社にはありませんよ」
──凛とした声が響いた。
ぱっと顔を上げると、栄さんの後ろから後光みたいに光が入り込んでいる。
ものすごく驚く彼と同時に、視線を光の方へ向けると、身長は百八十センチほどであろう長身のスーツ姿の男性が立っていた。
細すぎず、すらりとスタイルの良い彼は、片手をポケットに入れてゆっくりこちらに向かってくる。
「このクソ忙しい時間帯に、よく女を口説く余裕がありますね。さすがは責任者様」
「ぶ、部長……!?」
麗しい微笑みに似つかわしくない口の悪さで嫌味を言い放つその人は、紛れもなく私の上司。営業部の部長様だ。