イケメン部長と(仮)新婚ライフ!?
私から手を離した部長は、懐から名刺を取り出し、呆然としている栄さんに差し出す。
「申し遅れました。私、スマイルメイキング波月(なみづき)支店、営業部部長の坂本と申します」
そう、この部長様の名前は坂本 零士(さかもと れいじ)。
私と同じ苗字の持ち主なのだ。結婚しているわけではなく、ただの偶然で。
だけど、そんなことは知らない栄さんは私達が夫婦だと思い込んでいるようで、名刺を見つめたままお口をあんぐりと開けている。
「今後とも、お付き合いのほどよろしくお願いします。ただし、“清い”お付き合いを」
部長の声は落ち着いているけれど威圧感たっぷりで、美麗な顔には不敵な笑みを浮かべていた。
* * *
土下座しそうな勢いで謝った栄さんに満足し、レストランを後にした私達。
会社に向かって長い脚で颯爽と歩く部長の後ろを、背の低い私はちょこちょこと小走りでついていく。
「部長! あの、ありがとうございました、助かりました……! でも、何でここに?」
「たまたま近くで休憩してたら、ふたりで変なとこ入ってくのが見えたから」
真上から注ぐ暑い日差しに目を細める彼が端的に答え、私はその偶然に感謝しながら、なるほどと頷いた。
「申し遅れました。私、スマイルメイキング波月(なみづき)支店、営業部部長の坂本と申します」
そう、この部長様の名前は坂本 零士(さかもと れいじ)。
私と同じ苗字の持ち主なのだ。結婚しているわけではなく、ただの偶然で。
だけど、そんなことは知らない栄さんは私達が夫婦だと思い込んでいるようで、名刺を見つめたままお口をあんぐりと開けている。
「今後とも、お付き合いのほどよろしくお願いします。ただし、“清い”お付き合いを」
部長の声は落ち着いているけれど威圧感たっぷりで、美麗な顔には不敵な笑みを浮かべていた。
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土下座しそうな勢いで謝った栄さんに満足し、レストランを後にした私達。
会社に向かって長い脚で颯爽と歩く部長の後ろを、背の低い私はちょこちょこと小走りでついていく。
「部長! あの、ありがとうございました、助かりました……! でも、何でここに?」
「たまたま近くで休憩してたら、ふたりで変なとこ入ってくのが見えたから」
真上から注ぐ暑い日差しに目を細める彼が端的に答え、私はその偶然に感謝しながら、なるほどと頷いた。