ゆえん


修ちゃんから声を掛けられた時は有頂天になった。

友達の彼女と私がとてもよく似ていると彼は言った。

私はその友達と彼女にとても感謝したのを今でも覚えている。

修ちゃんと私を結び付けてくれたキューピットのように感じたのだ。

修ちゃんとはいろんな話をしてくれた。

彼が大学生バンドのヴォーカルをしていることや、好んで読んでいる作家の名前を教えてくれた。

私は修ちゃんのことを知るたびに菜穂に報告していた。

修ちゃんのことを誰かに話すということがしたくて仕方なかった。

菜穂もそれを楽しんでくれていると思っていた。


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