ゆえん
「私が罪の意識だけでずっと『You‐en』に居たと思っているんですか。本気でそう思っているの?」
冬真さんは私の腕を振り払いもせず、ただカップを見つめていた。
もう、これでここには居られないだろうし、『You‐en』にだって居られなくなるかもしれない。
でも私は覚悟を決めた。
胸の内を全て吐き出さないと駄目なのだ。
「冬真さんは今でも沙世子さんを想っている。私なんか見てもくれない。でも、私は冬真さんが好き。冬真さんが誰を想っていても構わないから一緒に居たいってずっと、もうそれだけ」
拒絶されたら、もうお終いだって分かっている。
そして彼が私を受け入れてくれるとは思えないけれど、自分の想いを口にしたことで私は救われた気がした。
修ちゃんのことはもういいと思っていたけれど、修ちゃんのことで長い呪縛を解けないで居た気がする。
それが経った今、自分の想いを口に出来たことで、もう過去には囚われないで生きていけると実感したのだ。
たとえ受け入れてもらえなくても。
「俺は」
冬真さんは私の手の上に自分の手を重ねて、目を閉じている。
私は真っ直ぐに彼の横顔を見つめた。