ニコル
 ―――もう、何時間こうしているんだろう?
 そう思い左腕にしている腕時計を見た。しかし、腕時計はこれまでの騒動の間に、いつの間にか壊れていた。室内を見回すが、給食準備室には時計が見あたらなかった。
 「香田さん。今、何時かわかりますか?」
 「すみません。時計しない主義なんですよ。」
 香田の淡々とした答えを聞いて、浩二は静かに生徒達の方を見た。すると、ひとりの生徒、ハヤテが浩二に話しかけてきた。ただ、その生徒は少し気まずそうだった。
 「どうした?」
 浩二は優しくハヤテに話しかけるが、ハヤテはなかなか言葉を出せずにいた。
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