キミのコドウがきこえる。
「……塩で」
「お!いえーい、俺と好きな味同じ!盛り合わせは塩でよろしく!」
そう言って翔太は私の目の前に大きな手の平を向けると「ハイタッチ」と言って、にこっと微笑んだ。
翔太の明るさに、私も笑みが自然とこぼれ、翔太の大きくなった手に私の手をパチンと合わせた。
店内は木目の模様で統一されていて、カウンター席と小上がりが三つあった。
翔太は迷わず一番奥の小上がりまでいくと、靴を脱ぎ「ふぅ」と息をつきながら畳の上に置かれていた座布団の上にあぐらをかいた。
私はテーブルをはさんで翔太の向かいに足をちょっとだけ崩して座った。
目線をあげると、翔太が私のことをじいっと見つめていた。
「何?」
「いや、なんか……ナル今日は化粧してるの?」
「……うん、一応……」
もしかして、変なメイクだったかな?ちょっとアイライン引きすぎた感があったし……。
「……変?」
「いや、変とかそういうんじゃなくて……」
翔太はそう言って頭をぽりぽりっとかきながら目線をちょっとだけ逸らして、また私と目を合わせた。