キミのコドウがきこえる。

『あ!山本成子さんの携帯でよろしいですか?』



元気な男性の声だった。



「そう…ですけど?」



『そうですか!今、お電話よろしいですか?』



「あ、はい……」


電話の向こうでは複数の人の話し声が聞こえた。

もしかしてセールスか何かかな?



「初めまして。僕、音葉町の地域おこし協力隊の井上翔太(しょうた)といいます」



音葉町と聞いてドキっとする。

そこは、私の地元だった。



『突然なのですが、山本さん今年のお盆休みの時に地元に帰って来るご予定ってありますか?』



「予定も何も先のことなので何とも…」



『そうですか…いや、ちょっと山本さんにしか出来ないことでお願いしたいことがありまして……時間があるようでしたら直接お話し出来ればと思っているのですが』



私にしか出来ないようなことって……そんなのないと思うんだけど。



『山本さんのご都合が合えば、僕がそちらにお伺いしてもいいと考えているんです!山本さんにしか出来ないんです!』


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