サマースキャンダル×× 〜Episode,00〜【短】
***
それから三年ほどの月日が経った、七月上旬のある夜──。
来月で二十六歳の誕生日を迎える俺に、例年通り有紀から電話が掛かってきた。
『さーて、柊くん。今年の誕生日はなにが欲しいのかな?』
やけにお姉さん振った口調の有紀の声は楽しげで、去年も似たようなパターンだったことを思い出す。
俺の答えはひとつしかないとわかっているからこその声音なのはバレバレで、腹立たしいのに言い返せないことが悔しかったけれど……。この願望を今日こそ受け入れて貰うために、グッと我慢をして口を開いた。
「遥さんに会わせて欲しい」
誕生日に限らず、なにか理由をつけては紡ぎ続けてきた願い。
何度口にしたのかはもうわからなくて、あの頃から一向に遥さんのことを諦められない俺の心の中では、彼女の存在がどんどん大きくなっていた。
遥さんに対する気持ちを自覚してからは三年だけれど、きっかけになったのはもう十三年も前のこと。
三年よりも前のことは自覚していなかったとは言え、ばかみたいに一途な俺の心の中にはいつだって遥さんが存在していた。
『あんたも諦めが悪いわねぇ』
わざとらしく呆れて見せる有紀は、俺にどうして欲しいのだろう。
決して遥さんとは会わせてくれないくせに、ことあるごとに電話を掛けてきては彼女のことを話してくる。
だけど、いい加減に俺の願いを聞き入れてくれるのかもしれないと期待して『遥さんに会わせて欲しい』と言ってみても、あっさりとはね退けてしまうのだ。
『そんなに遥に会いたいの?あんた、そんな一途な奴だっけ?昔はもっと軽くなかった?』
別に軽かったわけじゃないけれど、有紀は過去の俺を咎めるようにケラケラと笑った。
それから三年ほどの月日が経った、七月上旬のある夜──。
来月で二十六歳の誕生日を迎える俺に、例年通り有紀から電話が掛かってきた。
『さーて、柊くん。今年の誕生日はなにが欲しいのかな?』
やけにお姉さん振った口調の有紀の声は楽しげで、去年も似たようなパターンだったことを思い出す。
俺の答えはひとつしかないとわかっているからこその声音なのはバレバレで、腹立たしいのに言い返せないことが悔しかったけれど……。この願望を今日こそ受け入れて貰うために、グッと我慢をして口を開いた。
「遥さんに会わせて欲しい」
誕生日に限らず、なにか理由をつけては紡ぎ続けてきた願い。
何度口にしたのかはもうわからなくて、あの頃から一向に遥さんのことを諦められない俺の心の中では、彼女の存在がどんどん大きくなっていた。
遥さんに対する気持ちを自覚してからは三年だけれど、きっかけになったのはもう十三年も前のこと。
三年よりも前のことは自覚していなかったとは言え、ばかみたいに一途な俺の心の中にはいつだって遥さんが存在していた。
『あんたも諦めが悪いわねぇ』
わざとらしく呆れて見せる有紀は、俺にどうして欲しいのだろう。
決して遥さんとは会わせてくれないくせに、ことあるごとに電話を掛けてきては彼女のことを話してくる。
だけど、いい加減に俺の願いを聞き入れてくれるのかもしれないと期待して『遥さんに会わせて欲しい』と言ってみても、あっさりとはね退けてしまうのだ。
『そんなに遥に会いたいの?あんた、そんな一途な奴だっけ?昔はもっと軽くなかった?』
別に軽かったわけじゃないけれど、有紀は過去の俺を咎めるようにケラケラと笑った。