なみだ雨
だめだ、泣きそう
そう思った時はもう遅かった。
ポロッと涙が頬を伝った。
生暖かい感触がした。
練はぎょっとした顔をしながら
ティッシュ箱を差し出した。
「練さん」
初めて名前を呼ばれた。
胸が高なった。
「オムライス、美味しいです。とてもとても、美味しいです」
はるかはそれだけ言うと、
ティッシュで豪快に鼻をかんだ。
それから、大口を開けて、
ばくばくと美味しそうに食べていた。
オムライスが、
はるかの何を苦しめているのか
わからない。
でも、今は目の前で美味しそうに
頬張っている姿を見ていたかった。
今以上に泣くことはないように。
俺はもう口を開かないと決めたんだ。