なみだ雨





はるかの部屋は随分と何も無かった。

家電もなく、カーペットもない。


はるかはお湯を沸かしてお茶を入れる。

理子からもらったおさがりのマグカップを

練の前に差し出した。



「この前、福引をやったんです」

カチャリとマグカップを置いてはるかを見る。

「一等が当たったんですけど、このカタログをもらって…」

練に薄いカタログをさしだした。


ぺらぺらとめくると、

冷蔵庫、洗濯機、こたつ、

旅館ペア宿泊券、クオカード、

至るところに丸でしるしが書いてある。


「どれがいいと思いますか?」


まずこの部屋になにもないことから、

家電が一番必要だと考える。

でも、旅館ペア宿泊券もいいとおもう。



「宿泊券にするとして…誰と行くんですか?」

脳みそを通さず脊髄で聞いた質問。

え?と聞かれてはっとした。

「いや、ちがいます、あの、いや別に…」

「いません」

はるかはそう言って静かにお茶を飲んだ。


練と行けたらいいななんて思いは

胸の奥深くにしまった。




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