なみだ雨
はるかの部屋の前に一枚の紙が、
暗闇にぼおっと浮いている。
『 セールス以外お断り』
チラシの裏の白地に、
黒のマジックで書かれている。
練はその紙を剥がすと、
インターホンを鳴らす。
「はい」
はるかの声。
「梁島です」
「…はい」
「あの、昼間、」
そこまで言って、なぜだか
声が出なくなった。
見られてしまった。
やましいことをしたわけではないのに、
逃げて隠れて、
見つかってしまったような。
練は1つ、ため息をついた。
白い吐息が、行く場所を探して、
虚しく消える。
ガチャリ…と音がして、
玄関が開いた。