その瞳をこっちに向けて
「服、濡れてるよな。……その。……風呂、…………入る?」
なっ!……何ですかその質問!!
中畑先輩のまさかの発言に目を見開きながらも、何度も首をぶんぶんと横に振る。
「あっ、あれは冗談ですからっ!入りませんよ!」
「だ…よな」
そう少し項垂れて呟く中畑先輩を見るに、冗談だったのか本気だったのかの判断はつかない。けど中畑先輩だから、さっきの仕返し…とかなんだろう。きっとそう。
危うく無駄にドキドキする所だった。
ふうっと息を吐くと、再び中畑先輩の口が開かれる。
「あのさ」
「はい?」
次は何を言われるのかと若干身構える。が、中畑先輩の言葉の破壊力はそんな私のちっぽけな身構えなんて易々と突破してしまった。
「そこ、脱衣場だし鍵もかかる様になってる。だからさ。……そこに服置いてあるから着替えてこいよ」
「えっ……と」
言葉に詰まる。
中畑先輩は明らかに冗談じゃない顔をしていて。どうしたらいいのか分からなくて、トットットットッ…と早鐘を打つ心臓。