その瞳をこっちに向けて
「うわー。袖の長さとかピッタリだ」
余りのピッタリサイズにそう声を漏らす。
「中畑先輩も私と同じ位の大きさの時があったって事かぁ。なんかそれって、……想像できないかも」
今の中畑先輩の背は私よりも頭一つ分大きくて、小さな中畑先輩っていうものが思い浮かばない。でも中畑先輩が小さい頃も絶対にあったわけで。
きっとその時から、仁先輩の事大好きだったんだろうな。
そう思うと自然と自分の笑い声が響いていた。
脱衣場から出ると、中畑先輩がいるリビングへ。
ドアを開けてヒョコッと顔を出すと、ソファーに座っていた中畑先輩がこっちに振り向いた。
「中畑先輩。ありがとうございます」
「ん」
人がお礼を言ってるのに、何故かそれだけで顔を俯かせる中畑先輩。その姿に首を捻ると中畑先輩の側へと近付いていく。
「あの。ほんとにありがとうって思ってますよ」
「分かってるよ」
近付いた筈なのに目も合わせずにぶっきらぼうな返事。その反応が気になって、今度はグイッと中畑先輩の顔の前に私の顔を近付けた。