その瞳をこっちに向けて
「俺は?」
中畑先輩が私の恋の相手になるか?という問い掛け。
それは……ーー
「ないです」
「即答かよっ!」
「いや、だって。中畑先輩は学校の王子様ですから!」
「はあ?」
こっちとしては何がなんだか分からないのだが、不服そうな顔をして私を睨み付けてくる中畑先輩。それに一瞬たじろぐも、直ぐにへらっと笑ってみせる。
「王子様に手を出したって恨まれるのも嫌ですし。それに、中畑先輩だって私に好かれても嬉しくないでしょ」
仁先輩を守る為に中畑先輩は私を見張るくらいだから、少なくとも私の事を好きじゃない。大嫌いってほど嫌われてるとも思わないけど。
良くて普通。
そんな相手に好きになられても中畑先輩も微妙だろう。
「そんなこと」
中畑先輩の王子様故のフォローが入りそうになったその瞬間パチンッと手を打った。
「あっ!そういえば中畑先輩にお願いがあるんですけど」
「な、何だよ?」
「雨、もうすぐあがりそうですよね」
そう言って窓を指差せば、中畑先輩も窓へと顔を向ける。
「ああ。そういえばそうだな」