その瞳をこっちに向けて
「私、いい子じゃないんですよ。……だから」
手の中にある美音さんが落としたペンダントをギュッと握りしめると、その手を大きく後ろに振りかぶる。と、共にそのペンダントを思い切り放り投げた。
「とりゃあぁぁぁぁぁあ!!」
無駄に大きい私の声が響き渡る。
私の手を離れたペンダントは、仁先輩が投げた時と同様に綺麗な弧を描き、夜空にキラキラと輝く星の様に川へと落ちていく。
その光景を見ながら大きく息を吸い込むと、両手を拡声器の様に口の横にあてがった。
「いつまでもずっと一緒に幸せそうにしてたらいいんですよっ!!バカップルがっ!!」
あの二人がずっと幸せそうにしてたらいい。
呆れる位幸せそうにしてたらいい。
そうしたら、……仁先輩を好きでいることを諦めた私が報われる気がするから。
結局は自分勝手な気持ちから。なのだが、中畑先輩の大きな手がふわっと頭に乗せられた瞬間、ジワッと目頭が熱くなった。
「優しいじゃん」
「優しくないですけど」
本当ならあのペンダントは美音さんに返さなきゃならなかった。それを川に投げたんだから、優しいわけがない。