その瞳をこっちに向けて
とてつもなく上から目線で言われた気がするのは気のせいだろうか。
「えっと。別に一緒に行っていらないんですけど」
私のその返答に中畑先輩が一瞬固まった。と思ったら、ガシッと右腕を掴まれる。
「うっ、うっせー」
掴んだ私の腕を引っ張って、そのまま廊下を進みだそうとする中畑先輩と、引っ張られる形で廊下に出た私。
明らかにこのまま強引に図書室に連れていかれるこの状況に。
「ちょっ、ちょっと!鈴菜っ!」
教室に居る鈴菜向かって、掴まれていない左手をめいいっぱい伸ばした。
だが、そんな私の姿を見た鈴菜が一瞬ニヤリと嫌な笑いをしたと思ったら、私の机の横に掛けてあった鞄を手に取ってこっちへニヤニヤしながら駆け寄ってくる。
そして、
「どうぞ。麻希の鞄です」
満面の笑みで中畑先輩へ私の鞄を手渡した。
「鈴菜っ!!」
目を見開いて叫ぶ私なんてなんのその。
「ありがと」と中畑先輩に言われた鈴菜は、「眼福~」なんて呟きながら教室へと戻っていく。