その瞳をこっちに向けて


 なんの事はない、友達ならよくある事だと思う。でも、あの仁先輩が大好き過ぎる中畑先輩がそんな事を口にしたという事に開いた口が塞がらない。


そんな私の側に中畑先輩が戻って来ると、ツンッと頭をつつかれた。


「何あほヅラしてんだよ?」

「い、一緒に帰らないんですか?」

「だってお前と帰らなきゃならないし」



しつこい。

ほんとしつこい、この人。



中畑先輩の余りのしつこさにため息が漏れる。


「もう、後、付けないって言ってんじゃないですか。方向逆ですし」

「そうじゃなくて。付けるとか、付けないとか関係なくお前を家まで送りたいんだよ」



どういう意味?

何か裏がある?

中畑先輩の事だから何か裏がある気がする気もする。


もしかしたら、……私を陥れようとしてたりするかも!!



「…………何でですか?」


疑う様な視線を向ければ、フイッと顔を逸らされる。そして、「べっつにー。何となく」と適当な答え。

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