その瞳をこっちに向けて


「えっ!隣に座るんですか!?」

「仁といるときもいつも隣に座ってたけど」

「あー、でしたね」


 中畑先輩が私の隣に座るという事に驚いたのだが、確かに中畑先輩はいつも仁先輩の隣に座っていた。


ほんと、鬱陶しい位いつも。


だから、中畑先輩の中では誰かの隣に座るのが普通なのだろう。



というか。……なんか、さっきからやたらと中畑先輩に振り回されてる気がするのは気のせい?

このままじゃもっと振り回される気もするし。

それはなんか、……癪かも。

なんかもう、…………中畑先輩の事は気にしないって事でいこう。



心の中でそう決意すると、鞄を置き席を立つ。


 一応隣に居る中畑先輩に「本、みてきます」と一言告げると、中畑先輩からの「おう」という返事。


だが、中畑先輩は返事をしただけで椅子から立ち上がる気配は全くないまま。


「中畑先輩は何も読まないんですか?」

「あー。俺はいいや」

「そ、ですか」


 何も読まないのに何で図書室?と疑問に思ったものの、もう気にしない事に決めたんだったと思い直すと、気になっていた小説が置かれている棚へと歩を進めた。

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