その瞳をこっちに向けて
あー、もう!ヤバイ!……ほんとに心臓爆発しそうなんですけど!!
「してますよ!だから、どけて下さい!」
これ以上の接近戦に耐え続ける自信がなくてそう言うと、掌で中畑先輩の顔を強引に押し退けた。
意外にもスッと離れていく中畑先輩の顔。
それにホッとして胸を撫で下ろす私の横で、クックッと面白くて堪らないといった様に笑っている中畑先輩。
「何、笑ってんですか」
「いや、別にー。イケメンで良かったなぁって」
「自分でイケメンとか言っちゃうのはどうかと」
「うっせぇ」
文句を言っているくせに顔は笑ったままで。不意にふわっと頭の上に乗せられたあの大きな手が、私の髪をわしゃわしゃと乱す。
そのせいか、再び大きな音を奏で始めた自分の心臓と火照りだす頬に目を細めた。
つまり、中畑先輩の顔と行動は心臓に悪いって事だ……ーー