その瞳をこっちに向けて
「新人アイドルは、より自分を目立たせる為に全力を注ぐわ!それと同じよ。他と私は違うのよアピールをするってこと。しかも麻希は運が良い事に中畑先輩とよく話してるから後は」
「後は?」
「中畑先輩に一人の女として見てもらう!これに限るわ!」
「女とな!」
「うん。女ね」
そう言いながら、グッと握り拳を作る鈴菜の目は絶対の確信がある目だ。
「しかしながら、私は前から女でありますが」
「うん。一応は」
「一応っ!?」
「そ。今のままじゃ、良くて只の友達止まり。悪けりゃ、只の知り合い止まりよ」
「あー、それ凄い分かるかも」
実際、悲しいかな今の私はその知り合い程度な気がする。しかも今思い返せば、簡単に家に上げたりと中畑先輩に女と意識されていない感じもする。
鈴菜が言うように、女として見てもらうのは大切かもしれない。
「確かに女として見てもらえるって大切だけど、どうしたらそう見てもらえるか分かんないんですが」
そう首を傾げる私に向かって、再び鈴菜が人差し指を立てた。