その瞳をこっちに向けて
「そ、そんな……」
「ご愁傷様」
哀れむ目を私に向け、両手を合わせる鈴菜。そんな中、ガクッと肩を落として机に突っ伏す。
「中畑先輩、……どんだけ仁先輩が好きなのさ」
悔し紛れの文句に、鈴菜が苦笑している。
「仲良いからねぇ」
そんな言葉と共に。
そして、再び鈴菜は私のスマホに視線を落とした。
「にしても、中畑先輩のこんな顔見たことないから、かなり貴重」
私への悪意だらけの、あっかんべーの顔の事を言っているんだろう。
確かに王子様のこんな顔は、ファンからしたら貴重なのかもしれない。
けど、私にとってはただの障害物程度。
「こんな鬼の顔なんていらん」
それだけ言って、机に置いていた腕に顔を埋めた私は間違った事は言ってないと思う。