その瞳をこっちに向けて


「じゃあ、このクラスからは脇坂さん、熊谷君、新井君、それと工藤さんがリレーに出るということで」


体育委員がそう言って締めくくると直ぐに聞こえてくる、


「頑張れよ!熊谷!新井!」

「おう」

「任せとけ!」


という友人からの声援に対する熊谷君と新井君の気合いの入った声。


「脇坂ちゃんがいるなら1位間違いなしだよ!」

「そんなことないよー」


謙遜しながらも、間違いなくこのクラスの女子の中では一番早い脇坂さん。


 確かにこの3人だけなら1位を狙えるかもしれない。


だが、だがだ。



私が入ってる事をみなさん忘れてませんか!?

私が入ってるチームが1位なんて取れるわけがない!

だって私、……引く位運動音痴なんですけど。

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