その瞳をこっちに向けて
それだけでもどん底気分なのに、不運というのは重なるらしい。
「あっ、それと。リレーの選手になった4人は、今日の放課後に他の学年の選手と顔合わせ練習をする事になってますので、授業が終わりましたら、運動場の時計下に集まって下さいとのことです」
「うそ……。私の幸せ時間……」
放課後の図書室で仁先輩を見るという大切な幸せ時間が、やりたくもないリレーの練習時間に変更だなんて……。
ハッキリ言おう。神様なんていないと思う!
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今日の授業を全て終え、放課後になったと共にニヤニヤして私の方へとやって来る鈴菜。
「麻希、頑張ってね!」
そう言って私の肩をぽんっと軽く叩く彼女は、明らかに私の不幸を楽しんでいるのだろう。
酷い……。
そう思っていても、一応やる気のまったくない「お、……おう」という返事をしておく。
それに再びニヤニヤとした笑みを見せて、じゃあね…と颯爽と教室から去っていく鈴菜。