その瞳をこっちに向けて
そんな中で、隣を通り過ぎる瞬間に聞こえてきた女子の会話に思わず眉間に皺を寄せた。
「中畑先輩、何に出るか知ってる?」
「まだ知らないよ。気になる~!」
気にならないよっ!!
全くもって気にならない!!
そう突っ込んでしまいそうになる。
中畑先輩の話でキャアキャア言えるって感覚すらもう今の私には理解不能だ。
彼は、私の敵だ!
靴を履き替え運動場の時計下に着くと、もう既にリレーに出るだろう生徒が集まっていた。
ふと空を仰げば、白い雲が水色の中をゆらゆらと流れている。その視界の端に映る大きな時計。
その時計が差す時間は3時20分だ。
それから数分経った所で、3年生の刈り上げの爽やかそうな男子の先輩が、集まった生徒の数を確認し集合を掛けた。
「リレーの順番決めたいから、みんなの50Mのタイムとか聞いていい?」
「7秒58です」
「6秒23です」
集合を掛けた先輩がリレー競技のまとめ役だった様で、彼の質問に次々に50Mのタイムを言っていくみんな。そのタイムに気を失いそうになる。