その瞳をこっちに向けて
そんな私のご機嫌取りに、ニカッと小さな子供みたいに笑って「だろ」と言う中畑先輩は、征服欲っていうのがあるのかもしれない。
こう誰かが自分に屈する姿を見ると嬉しい…みたいな。
…………ドSかっつー話しだけど。
中畑先輩の性格を頭の中でそうやって考察していると、中畑先輩の大きな手にぽんっと頭を叩かれた。
「まっ、兎に角バトンの練習からだな。付き合ってやるから死ぬ気でやれよ」
笑顔で親指を立てるその姿は爽やかで格好いいんだろう。ファンの子達から見たらだけど。
私としては出来るだけ中畑先輩との接触を避けたいわけだから、付き合わなくて結構です!位言ってしまいたい所だけど。
「は、……はい」
多分歪んでいるだろう笑顔を顔に張り付けてそう答えるのは、自分の運動神経の無さを知ってるからだ。