その瞳をこっちに向けて
これだけ気合いが入ったリレーの試合で、私の遅い走りが招く結果は目に見えていて。
1位でバトンが回ってきても、そこから最下位いにする自信があるよ。
どうしよう。
…………めちゃくちゃ怖い。
「大丈夫か?」
スッと私の顔を覗き込む様に見ながら首を傾げる中畑先輩。その顔の近さに思わず一歩後退り目を細めた。
「何がですか?」
「強がり」
質問の答えはなく、フッと鼻で笑ってそう呟く。それが只でさえド緊張真っ只中の私を苛立たせる。
「何がですか!?」
「手、震えてんぞ」
緊張から手が震えていたのに気付かれてた。
無駄に鋭いとか、……ウザい。
無理矢理笑顔をつくると、誤魔化す様に震える手を身体の後ろに回す。