その瞳をこっちに向けて


「これって」

「美音さんのです。美音さんが向こうの橋に居ると思うので」

「えっと、どういう事?」

「美音さん、落としちゃたみたいで」


そこまで言うと、中畑先輩が更に不思議そうな顔をして首を傾げる。


「ていうか、何でお前が探してんだよ?」

「ああ、それは。私が探してくるって言って強引に探しに来たんですよ!」

「何で?」

「そんなの決まってるじゃないですか!美音さんの綺麗な浴衣姿を仁先輩に見せてあげたかったからですよ!」

「あー、また仁ね」


私が探していた理由に、ため息混じりにそう言う中畑先輩。



きっと、また仁先輩をストーカーしてたとか思われてる気がする。

こういうのは、早めに否定しておかなければ。

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