天然美
上半身を起こして辺りを見渡すが
中庭には大樹しかおらず
不思議に思い
もう一度周りに視線をめくらせていると
茂みの一部分が
カサカサと音をたて始めた
大樹は不審に思いゆっくり音のする茂みに近づいていった
音のする茂みのすぐ側までくると
茂みから一匹の子猫がでできて
近くにいる大樹にすり寄りミャーミャーと鳴き出した
子猫は少し長めの黒色で
目の高さまで持ち上げるとフワフワで心地よく
暗めの緑色の瞳がジーッと大樹を見つめてまたミャーと鳴いていた
子猫を抱き直し撫でていると
子猫が今度は茂みに向かって鳴き出し
腕の中でゴソゴソと動き茂みに戻りたがっているようだった
大樹が子猫をおろすと
茂みの中に戻っていくので
大樹も茂みを掻き分け後に続いた