イジワルな初恋

ーー

『なんでいつもひとりでいるの?』

三年で初めて同じクラスになったから、顔は見たことある程度だった。

『りりーって呼んでいい?』

勝手に人の心に入ってきて、大嫌いな私の名前を勝手に呼んできて、とにかく無神経で……。

この人に関わって少しでも心を開いて、もしまた無視されたらって思ったら怖かったからずっと口を開かなかったけど、それでも毎日私に構ってきた。


『ひとりが好きみたいに装って、このまま卒業でそれでりりーはいいのかよ。本当は寂しいんだろ?』


『……あんたになにが分かるのよ。あんたには関係ない!もう構わないで!』


腹が立ったから、心の中を読まれたみたいでムカついたから、つい大きな声を出してしまった。

クラスメイトが驚いた表情で私を見てる。その視線が痛くて、私はまたうつむいたけど……。


『なんだ、喋れるじゃん。しかも思ったよりでっかい声も出るんだな』

そう言って彼は微笑んだ。

ピンと張りつめていた心の糸がプツリと切れた瞬間、彼は私に言った。


『あんたじゃなくて、中矢太一(たいち)。今日から友達な』


真っ暗だった教室に、ほんの少しだけ明かりが灯ったような気がして……

このままじゃ泣いてしまいそうだったから、とっさに机に顔を伏せた。


中矢くんは……

私の光りだった……。


ーー


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