イジワルな初恋
「そういえばさー、今思い出したんだけど……」

古藤さんが急に小声で耳打ちしてきた。


「梨々香って……告白、されたことあるよね?」


「……!!」


急に胸が苦しくなって周りを見渡した瞬間、教室の中、クラスメイトが私を見てヒソヒソと悪口を言っているような感覚に陥った。


ひとりでいい。ひとりの方が楽。学校にいる間はそうやって呪文のように心の中で繰り返してた。

だけど、いつもみんなになにか言われてるんじゃないかって本当は凄く怖かった。


『梨々香ムカつかない?』

『無視しようよ』

『梨々香って、名前負けでしょ』


言い返さない私に対するイジメは、最終的に私という存在を完全に消した。三年のクラス替えで、また古藤さんと同じクラスになったときにはさすがに先生を恨んで、やっぱり私は消えたままなんだって愕然としたけど……。


でも……

二年間消えていた私に手を差しのべてくれた人。


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