さよならは言わない

私は森田さんの付き添いで病院へ行くことになり友美は仕事に戻ることになった。

納得のいかない様子の友美だったが、ここで一度検査を受けるのも悪いことではないからと私を気遣ってくれた。

いつも私を心配しまるで家族のように温かく見守ってくれる友美に感謝していた。


「森田さん、絵里をよろしくお願いします」

「安心して任せて」


森田さんは倒れた私には一言の文句も言わず病院へと連れていってくれた。

本来なら体調が万全でないのに派遣社員として勤務したことに苦情を申し立て契約破棄されても不思議ではないのに。

そうしなかった森田さんは案外お人好しなのかもしれない。


「何を笑っているんだ?」

「お人好しもここまでくれば呆れるかなって」

「自分でも驚いているよ。仕事の邪魔をしに来たような君にここまで寛大になれるとはね」


言い返す言葉が見つからなかった。勤務開始初日から私は森田さんに迷惑のかけ通しだ。

勤務時間の契約内容が違っていたり、派遣社員に認められない休憩を私が取ったのを自分の所為にしたり、挙げ句には専務とのランチで悪態をついてしまった。

なのに、森田さんはそのことで私を責めることはしない。

例え、ほんの一時いるだけの契約社員とは言え、こんな迷惑をかけると普通なら即解雇になりそうなのにと、これを感謝すべきなのかどうか私は悩んでしまう。


「君にこんなこと言うのは失礼というか迷惑かもしれないけど、俺、なんとなく放っておけなくて気になってしまうんだよ」


少し恥ずかしそうに照れながら言う森田さんに胸がキュンとしてしまった。

男性にこんな台詞を言って貰えたのは久しぶりのことだった。尊と付き合う前に尊に言われて以来で慣れない台詞に私まで恥ずかしくなった。

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