さよならは言わない
森田さんに連れられ病院へ検査に来た私は簡単な検査を受けることになった。健康診断で受けるような一般的な検査だ。
検査の間、森田さんは帰社することなく私の検査が終わるまでずっと待っていてくれた。
本来なら仕事で忙しいのだから私を病院まで送り届けると会社へ戻ってもいいのに森田さんはそうしなかった。
検査が終わったらタクシーで帰れと言えるのに言わなかった。
森田さんは不思議な人だと思ってしまった。
検査の結果、私は極度の貧血と栄養失調だと言われた。若い女性に多くみられる無理なダイエットを疑われたが診察してくれた医師には正直に説明した。
出産直後に子どもを亡くし鬱症状を患い治療を受け今は改善していると。
「改善したのであれば食欲は戻っているでしょう? 食事はどれ程食べていますか?」
「その当時よりはかなり食べています」
「では、今日の朝食は何を食べましたか?」
「昨日の夜、食べ過ぎて今日はあまり、その……」
「心療内科の紹介状を書きますのでそちらの診察をうけませんか?」
今の私の精神状態が昔に戻っていると判断されたようだ。
一応鉄剤を処方され定期的な診察を言われてしまった。だけど、再び心療内科で治療を受けるとなると、2ヶ所の病院へ通院できるほど金銭的余裕はない。
でも、紹介状を受け取った以上無視はできなく、心療内科への通院はしばらく必要だと暫しの間だけ諦めて通うつもりだ。