あと5センチで落ちる恋
「この干物女」
「ひもの…!?ゆ、由紀だってしばらく相手いないくせに!」
「あ、そうなの?なんだ3人ともお一人様かよ」
そう言ってわざとらしく大げさにため息をついた越智。
(…あれ?)
そんな越智を見る由紀の目が、なんだか今までとは少し違った気がした。
だけどそれは一瞬で、次の瞬間には由紀はいつも通り私に説教をする。
「とにかく、恋愛が苦手だなんて言ってらんないわよー!まわりはどんどん結婚してってんだから」
「別に苦手なわけじゃ…。ただちょっと面倒で不必要っていうか」
「あ、あの人…って水瀬課長ね。前に同じこといってたな。わざわざ恋愛しようとは思わないとか」
越智がすかさずそう言ってくる。
さっき会社のエレベーターホールでの課長との会話を思い出した。
(”ほっとけ”って言ったときの課長、ほんとにどうでも良さそうだったもんなあ)
「課長と紗羽、ちょっと似てるんじゃないの?」
「…やめてよ、私あんなに怖くないもん」
2人の顔を交互に見てそう返した。