君と一緒
突然?の告白
トントントン……トン…


目の前の大根に集中して…しゅうちゅう………


「だぁぁぁ!!全く集中できない!!」


包丁を握りしめ大根を振りかざしながら叫んだのは私、橘 希仍(たちばなきよ)。親が昔から共働きの出張過多な人達で、小さ頃から家事洗濯をこなしていた私は、特技が家庭科全般という齢18歳にして主婦のような女の子。
顔は普通だと思ってる!てか、思いたい‼
彼氏だって1人居たことあるし……まあ1ヶ月だけだけども……。


で、今なぜ叫んだかというと私の家は対面キッチンでダイニングテーブルが目の前に置いてあるんだけどそこに座っている人が頬杖をしながら飽きもせずジーっと見られているから。


「希仍ちゃん、そんなに包丁振り回したら危ないよ。指切っちゃうよ?」


にっこりと意味深に笑いながら私の側に歩いてくるのは、九条稚早(くじょうちはや)。私の双子の弟、良人の親友。小、中学は違ったけど空手の道場が一緒だったらしく、高校で意気投合したみたいで、よく家に遊びにくるようになった。
見た目はスラッと細くて整った顔立ち。いわゆるイケメンの部類に間違いなく入っているだろう人種。今時珍しい黒髪。

高校は良人と同じ隣の男子校に通っているんだけど通学の電車が一緒だから女の子たちがキャッキャッ言ってるのが自然と聞こえてくる。



「だっ、だだ大丈夫だよ!!」


どもった私にフフっと笑いながら

「そ?ケガしたら俺が治療してあげるのに残念。」

なんて少し長めの前髪がサラッと揺れて瞳が少し細くなるのが近くで見えて、少なからず心臓が煩くなる。
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