美月~大切なあなたへ~
掃除が終わり、私とみっちゃんは職員室に“斎藤”先生を探しに行った。



「『失礼しま~す…』」



私達は恐る恐る職員室に入った。



「おぉ!浜田に日高ぁ!掃除の時の弁解にでも来たのかぁ?」



私達を出迎えたのは、学年主任、兼技術担当の沖田先生。




弁解って……。わざわざそんなことするほど私は良い子じゃないんですよね…。



「わははは!!本気にすんなよお前らぁ!」

沖田先生は私達の肩を叩いて笑ってた。


え、冗談すか…。

こ、こういう時はどうすれば……。みっちゃんをみると、私と同じで困った顔をしていた。


すると、





「あれ、浜田に日高?どうしたんだ?」




「『日明先生~~』」



「うぉっ!?なんだぁ!?」




私達は思わず救世主・日明様に抱き付いた。



「んだ?お前ら。まるで俺を悪役みたいに。」




沖田先生…


あなたは対応に困る上司の一種だと思います。





「で、お前ら、何か用があって来たんだろ?」



日明先生が微笑んで訊いてきた。

沖田先生の後に見ると無性に可愛く見える。

…格好はヤクザなのに。



「あ~!そうだった!!
日明先生、“斎藤先生”どこですか?」


みっちゃんが思い出したように言った。


てか、沖田先生のせいで、本当の用を忘れてた。



「はぁ?“斎藤先生”は俺だぞ?」





そうです。“斎藤先生”は確かにあなたです。




『あの、もうひとりの、数学の“斎藤先生”に用がありまして…。
明日の数学の持ち物を…。』




「あ~!!お前ら偉いなぁ!初めてだよ、新入生が初日から係の仕事してるなんて!!」



日明先生が感心したように言った。

沖田先生も、あからさまに驚いた顔をしていた。





「“龍心”先生!」








……た……つ……み……?







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