美月~大切なあなたへ~
―――美緒・小3の時




「美緒!ブランコしに行こっ♪」


『あっうん。行こっ!!』



ナオに手を引かれて校庭に向かう私の背中に、鋭い視線が突き刺さっている。




「美緒!ちょっと来て!ちょっとだから♪」



遠くから、ハナ達が声をかけた。



「お願い♪」


『あ、うん。
ナオ、ごめん。先に行ってて、すぐいくから!』

「…………」


『ナオ……?』



ナオはスゴく暗い顔をしている。


どことなく怒りも感じられる視線は、真っ直ぐにハナ達に向けられている。



「すぐ来てね!待ってるから。」


『うん。』



ナオは、さっきとは打って変わって明るい笑顔を向けた。





はぁ………


ほんとめんどくさい。




『ハナ!なに?』



極力笑顔で訊いたけど、


何を言われるか分かってるから、心中ではかなり疲れた表情をしていただろう。




「ねぇ…なんでナオと仲良くしてるの?
あの子って嫌われてるじゃん。
美緒は嫌われてなんてないのに…。美緒まで嫌われちゃうよ。」




ほら……やっぱりこういうことだった。


めんどくさいな本当。



『別に仲良くしてるつもりないよ。
ただブランコ誘われたから…。』


「いやって言えばいーじゃん!」


『いや、ブランコ好きだし。別に嫌じゃないし。』


「なんで?ナオ好きなの?」


『ナオがどうこうじゃなくて、ウチ別に嫌いな子いないから。』


「美緒、優しすぎなの!美緒まで嫌われちゃうなんて、私達いやなの!
だから、ナオと仲良くしないで!!」



あぁ~~~!!


めんどくさいなぁ!!



『別にそれは人の相性でしょ?嫌いとか好きとかそんなのしょうがないじゃん!
向こうが嫌いならこっちも嫌い。それでいいじゃん。』




あぁ~……

もう終わったなぁ……この友情。



そして休み時間も終了。


すっぽかしちゃったぁ…


ま、謝ればいっか。


怒るだろうけど…。





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